カテゴリ「医学情報」のブログ記事
北名古屋市にある みやもと耳鼻咽喉科の宮本です。
前々回のブログで難聴について書きました。
前回のブログで難聴と認知症について書きました。
治療可能な難聴疾患の場合は、なるべく早期に治療を行いましょう。
加齢による難聴や治療での改善が望めない難聴の場合は、
補聴器を使用することになります。
こちらのページもご覧ください。
耳鼻咽喉科専門医からの警鐘です。
補聴器はどんどん進化しています。
もちろん合わない方もみえると思います。
経済的な理由もあると思います。
耳に掛けるタイプや耳穴の中に入れるタイプなど目立たない補聴器もあります。
ご友人や他の方の評価を鵜呑みにしないようにしてください。
すぐに購入する必要はありません。
数日借りて家で使うことができますので、まずはご自身で生活の中で試してみてください。
補聴器は購入したら、直ぐに快適に使えるものではありませんので、
個々の難聴の状態に合わせた調整が必要です。
したがって、認知機能が低下する前に補聴器に慣れることが重要です。
ご本人が使いたくないと言っても、ご家族が使ってもらえるよう説得するべきです。
私に苦い経験があります。
現在95歳になる祖母がいます。
当時、認知はそれほど問題なく、中等度の難聴で、当然補聴器を勧めていましたが、
本人はうるさい、合わないとつけようとしませんでした。
昨年、突然自力で立つことができなくなり、色々あって介護のできる施設に入所しました。
環境が突然変化し、難聴も進行し、いくら勧めても補聴器を使ってくれませんでした。
その結果、認知機能の低下を来し、どんどん認知症が進行してしまいました。
もう補聴器を新たにつけるのは手遅れでした。
もしかして認知症かな?と思ってから、難聴に対して補聴器の使用を始めるのは困難です。
もう一度言います。
いくらご本人が使いたくないと言っても、
ご家族が使ってもらえるよう何度も説得するべきです。
なぜなら、後になって苦労をするのはご家族だからです。
(もちろん難聴でみんなが認知症になるわけではありません)
難聴による認知機能の低下を減らしたい!
難聴による認知症の発症を一人でも減らしたい!!
耳鼻咽喉科専門医として補聴器の使用を積極的に勧めていくことが使命だと思っています。
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北名古屋市にある みやもと耳鼻咽喉科の宮本です。
前のブログで難聴について少し書きました。
さて今回お伝えしたいことは、難聴と認知症の関連についてです。
2015年に政府が、認知症の対策強化のための新オレンジプランを策定し、
認知症発症予防の推進に取り組み始めました。
新オレンジプランに挙げられている認知症を引き起こす危険因子
加齢
高血圧
難聴
喫煙
糖尿病
遺伝
頭部外傷
難聴になると、小さい音が聞こえないので、周囲からの情報が少なくなります。
⬇️
コミュニケーションが難しくなると、周囲との関わりを避けるようになります。
⬇️
徐々に社会・家族との交流が減少します。
⬇️
認知機能の低下を引き起こします。
こちらのページもご覧ください。
難聴になるとすぐに認知症になるというわけではありません。
難聴と認知機能低下の関係を示した研究があります。
1年の加齢による認知機能の低下を比較した研究によると、健康な人の認知機能テストのスコアは0.5低下であったのに対して、25デシベルの難聴のある人のスコアは3.86低下でした。
つまり、「難聴」により約7倍の認知機能低下が引き起こされる可能性があるということになります。 (出典:Lin FR:Journal of Gerontology,2011 National Health and Nurtritional Examination Survey)
難聴を自覚したら、まずは耳鼻咽喉科を受診し聴力検査をしましょう。
あるいはご家族でしたら、ご本人に耳鼻科受診を進めてください。
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北名古屋市にある みやもと耳鼻咽喉科の宮本です。
難聴には、いろいろな原因がありますが、30代から始まっていると言われています。
加齢による難聴では、一般的に高い音から聞こえなくなってきます。(下図)
「ア」「イ」「ウ」など母音は、比較的低い音で音量が大きく、
「サ」や「タ」など子音の成分は音量が小さいです。
そのため、高音部の難聴によって会話中の子音が聞き取りにくくなります。
言葉の音はなんとなく聞こえてるけど、子音の部分が聞き取れず、
言葉として意味が理解できなくなります。
難聴のある方は、
「音」は聞こえるけれど「意味」がわからない
NHKのアナウンサーの話し方は理解しやすいけど、〇〇の話はわかりにくい
などと診察で言われます。
日常でこんな事がありませんか?
・テレビの音が大きいと家族に言われる
・会社の会議や習い事などで聞き取れない
・友達多数との会話がわからないため楽しめない
・意味が聞き取れないので、適当に頷いている
もちろんご本人には、難聴によって様々な不都合が生じます。
しかし、それだけでなくご家族も、あるいはご友人も困っている場合が多いと思います。
外来で補聴器を勧める機会が多々ありますが、
「私は、今は不自由していないから、まだ使わないで大丈夫です。」
と言われる事がよくあります。
しかし、ご家族が日常で不自由していて、
「治る病気であれば治療して欲しい。」
「治らないのであれば、補聴器を使って欲しい。」
と願っている場合が多いと思います。
ぜひ自分だけでなく、ご家族の負担も考慮して難聴に対する対策を考えましょう!
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